―　次の話題は山笠と天災です。昭和53年、福岡市が大渇水に見舞われた中で山笠が行われました。その年の水当番は川中でした。どうやって乗り切ったのですか。
内藤　井戸水ば探しに行ったやね。井戸水のポンプのある家に頼んで、水ば分けてもらいに行きよった。
浦�ｱ　当時は井戸がある家が、博多にも結構あったもんね。
内藤　十二日と十五日は、福岡市から配給された水ばトラックに積んでコースに運んだったい。当時は赤手拭やった。「そら大変やろう」と、高校の同級生も加勢に来てくれたとよ。飲み食いが楽しみで、来よったとかも知れんけど。

―　次は大雨です。この写真は皆さんも覚えておられると思いますが、土砂降りの櫛田入り。昭和61年です。清道が水たまりになってますね。
黒岩　うち(つノ一)が当番町で、私は赤手拭やったですね。取締から「清道にどんくらい水のたまっとうか」て尋ねられて計ったら、一番深か所で、脚絆の真ん中ぐらい、ちょうど向こう脛のところまで水がたまっとりましたね。清道が川のごとなっとりました。
浦�ｱ　見物客が「田植えやね」て言いよったよ。
黒岩　櫛田入りば待っとう間、雨で体が冷えて寒うして寒うして。杉壁の向こうに入れた日本酒五本ば、皆で飲んでしもうたとです。町内のごりょんさんが、熱燗の日本酒ば水筒に入れて持って来てくれて、有難たかったですなぁ。

―　最後に、昔の風景や街並みと山笠です。先ずは西鉄のチンチン(路面)電車。 大黒流内には貫線と循環線が通っていて、山笠が軌道を越えていました。昭和31、37、48年の写真です。軌道はどうやって越えていたんですか。
内藤　軌道の上ば、一気に担(いな)い上げよったね。
黒岩　対馬小路(を通る時)やら、二へんも軌道ば越えよりましたばい。
浦�ｱ　うまく担い起こせんで、ようつっかけよった。
永田　足ば折ったこともあったね。
浦�ｱ　軌道は無(の)うなったとい、今でも対馬小路ば通る時は、担い上げろうてしてしまうもんね。
内藤　電車の架線があるけん、山の高さも今よりか低かった。架線のない昭和通りば通る十三日(当時の「集団山見せ」)だけ、少し高ぅしよったはずたい。

―　次は洲�ｱ問屋街（須崎問屋街）。この写真は昭和40年「上す」が当番の時の松囃子と山笠の集合写真です。
永田　旧町で最後の当番町やね。この翌年に町名が変わるったいね。当時は当番町ていうても、人数はこれだけやったよね。
浦�ｱ　それにしても、懐かしか顔ぶれやね。
内藤　私たちは写っとる人が誰か分るばってん、そのうちに誰が誰か分からんごとなるっちゃろうね。
永田　そういう意味では、10年前に総合サイトば立ち上げて、昔の写真ば集め始めた頃が、写っとう人が誰か分かる最後のチャンスやったかも知れん。まさにベストのタイミングやったね。

―　以上で写真の紹介を終わります。色々とお話を聞かせてもらってありがとうございます。今までの総合サイトにない座談会の形式で、大黒流の足跡を振り返ることができました。今後とも総合サイトの発展にご指導をよろしくお願い申し上げます。